大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岡山地方裁判所 平成元年(わ)825号 判決

判決主文

被告人を

判示第一、第二の罪について懲役一〇月及び罰金一五〇〇万円に、

判示第三の罪について罰金三〇〇万円に、

それぞれ処する。

右各罰金を完納することができないときは、それぞれ金二万五〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実の要旨

被告人は、岡山市中央町三番二号において「ヤングビーナス」の名称で、広島県福山市住吉町三番二九号において「カラフルトントン」の名称で、同市昭和町三番一五号において「男性クリニック」の名称で、それぞれ個室マッサージ店を営み、同市昭和町四番五号において「ココゴルフ」の名称で飲食店を営んでいたものであるが、その事業所得にかかる所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して仮名、借名で預金するなどの方法によりその所得を秘匿したうえ、

第一 昭和六一年三月一四日、所轄税務署である岡山市天神町三番二三号所在の岡山東税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分の実際の総所得金額は四八六九万三九三一円で、これに対する所得税額が二三五九万一四〇〇円であつたにもかかわらず、同年分の総所得金額は三一七万二五〇〇円でこれに対する所得税額が三九万一三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、正規の税額と申告税額との差額二三二〇万〇一〇〇円の所得税を免れ、

第二 昭和六二年三月一六日、前記岡山東税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の実際の総所得金額は五五〇五万八〇五六円で、これに対する所得税額が二七六五万一七〇〇円であったにもかかわらず、同年分の総所得金額は三五二万九四六〇円でこれに対する所得税額が四五万八四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、正規の税額と申告税額との差額二七一九万三三〇〇円の所得税を免れ、

第三 昭和六三年三月一五日、前記岡山東税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の実際の総所得金額は二五四八万四一〇四円で、これに対する所得税額が九四六万九一〇〇円であったにもかかわらず、同年分の総所得金額は三八五万〇六六八円でこれに対する所得税額が四八万一五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、正規の税額と申告税額との差額八九八万七六〇〇円の所得税を免れ

たものである。

確定裁判

被告人は、昭和六一年一二月一七日広島地方裁判所福山支部で職業安定法違反等の罪により懲役一年六月(五年間刑執行猶予)に処せられ、右裁判は昭和六二年六月一二日確定した。

法令の適用

罰条 所得税法二三八条一項、二項

刑種の選択 判示第一、第二の罪については情状により懲役刑に罰金刑を併科、判示第三の罪については所定刑中罰金刑を選択。

併合罪処理 刑法四五条前段及び後段によれば、判示第一、第二の罪は前記確定裁判のあった罪と併合罪の関係にあるので、同法五〇条により未だ裁判を経ない右各罪について更に処断することとし、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で処断。

罰金の換刑処分 刑法一八条

懲役刑の執行猶予 同法二五条一項

(裁判官 香山高秀)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!